1999年7月:『リンゴは遊びの名人』


1960年代中期のビートルズのレコーディングの手順は、まず、ベーシック・トラックにドラムとベースを録音してしまって、その上にそのほかの楽器やコーラスなどをつけ加えていくというものだった。そのためリンゴは早々と出番が終わってしまい、ジョン、ポール、ジョージがギターやボーカルをあれこれ練っているあいだは、ドラムのとりなおしや追加が必要になるまでリンゴはたっぷり待たされることになった。初めはそんな時間も楽しくひまつぶししていたが、レコーディング作業に没頭し、アレンジに凝るようになっていくにしたがって待ち時間がどんどん長くなると、さすがのリンゴも「なんだか仲間はずれみたい…」と不安になりスネてしまった。あわててジョンやポールはリンゴのための曲をプレゼントしたり、タンバリン、マラカス、フィンガー・シンバルなど、リンゴがアレンジにも参加できるような工夫をするようになったという。

写真左はアルバム『ヘルプ!』のセッションのとき。リンゴは待ち時間に、マル・エバンズ、ニール・アスピノール、運転手のアルフ・ビックネルと"playing footsee"(足先の見せっこ?)していると説明がついている。どうやら"play footsie"=「いちゃつく」という意味の言葉にひっかけてあるようだ。なんだか不思議な遊び…。足もとに注目すると、ビックネル以外の3人は「ビートル・ブーツ」を履いている。今年3月に来日したバッドフィンガーのジョーイ・モーランドも、当時このブーツにあこがれてビートルズと同じ店にブーツを買いにいったと語っていた。同性にあこがれられるってやっぱりスゴイ!

右は1966年、「ペイパーバック・ライター」のセッションをしていたころ。以前月刊誌で紹介したとき大反響を呼んだ「チェスの名人リンゴ」の写真。レコーディングで待たされているあいだ、何度もチェスをしているうちにすっかり強くなってしまった、というエピソードとともに紹介した。
PHOTO: (C) The Beatles Club

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