新着ニュース


ポール、動物実験中止を訴える書簡をゴア米副大統領へ送る


アメリカのゴア副大統領の指示で、米環境保護局(EPA)は化学薬品を量産するための策として、薬品のテストに動物実験を行なうことを昨年秋に決めたが、ポールはこれを受けて2月25日付で副大統領宛に書簡を送り、動物実験を行なわないよう強く訴えかけた。このポールの書簡は、リンダの生前からふたりが積極的に支持してきた動物の権利保護を主張する団体PETAを代表して書かれた。書簡が副大統領のもとに届けられる前日には、PETAが『ニューヨーク・タイムズ』紙に1ページの意見広告を掲載し、実験のために皮膚を引き裂かれたうさぎの写真とともに「アル・ゴアが大統領になれば、4年間苦しむのは共和党だけではない」という見出しで動物実験反対を訴えている(ゴア副大統領は次期大統領選挙に出馬を表明している)。
ポールが送った副大統領宛の書簡の内容は以下のとおり。

ゴア副大統領様
ピープル・フォー・ジ・エシカル・トリートメント・オブ・アニマルズ(PETA)を代表して、どうしてもお願いしたいことがありペンをとりました。化学薬品の高い生産性をねらった「HPV化学薬品テスト・プログラム」という動物実験プログラムが行なわれることになったようですが、どうかそのような実験はやめてください。そのような実験を行なえば、数えきれないほどの動物たちが苦痛をしいられ殺されることになるのです。
副大統領は化学薬品の生産性をあげるためには動物実験が「近道だ」ということで、昨年秋にプログラムの施行を決定なさいましたが、このプログラムには根本的なところで、つまり科学的な面と良識面の両方において欠陥があるということに、お気づきではなかったようです。はばかりながらおたずねいたしますが、テレピン油やねずみ取りの薬が危険だということをわざわざ証明するために、うさぎやあひる、魚、モルモットといった生き物たちの命を奪う必要がほんとうにあるのでしょうか。
動物たちにむりやり毒物を投与しても、動物たちの傷口に症状を悪化させるような化学薬品をいくらすり込んでみても、人間を化学薬品の危険から守ることなどできません。さらに、今回プログラムの対象となっている化学薬品がきわめて危険なものであることは、一般に公開されているデータ(人間がどれだけそれらの薬品の危険に身をさらしているかという情報を含めて)から、もう何年ものあいだ、十分に証明されてまいりました。そして、それらの薬品がきわめて危険だということは、つまり、そのような薬品のテストに動物を使えば、間違いなく動物たちは激しい苦痛にさいなまれたうえ、無残な死に方をするということなのです。
現実に、動物を使わない実験も存在するのですから、そのようにむやみに動物たちに苦痛を与え命を奪うことは、たいへん恐ろしいことです。動物を使わない実験は、人道的であるばかりでなく、動物を使うよりも早く結果が得られ、費用も安くあがるうえに、なによりも特定の化学薬品が(動物にではなく)人間にどのような影響を与えるのか直接的に推論することができるのです。一方、動物を使った実験からは、すでに有害だと認められているものがほんとうに有害だということを再確認することしかできません。
幸いにも、HPV化学薬品テスト・プログラムが始まるまでには、まだ(ほんのわずかながら)時間が残されています。その残された時間で、これまで明らかになっているデータをすべて見なおし、動物を使わないテスト方法へときりかえることができるはずです。
先日、米環境保護局(EPA)のお役人が次のように言っていました。「研究所にとっていい時代がやってきた。研究所のモルモットには災難な時代だけれども」
ゴア様、世界中の心ある人たちはみな、そのお役人が間違っているということを、あなたが証明してくださるのを待ち望んでいます。
敬具
ポール・マッカートニー


[新着ニュース一覧にもどる]