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ポール、遺伝子組みかえ食品への抗議キャンペーンを開始


6月10日、ポールはロンドンのホテルで緊急記者会見を開き、リンダ・マッカートニー・ブランドのベジタリアン食品に遺伝子を組みかえた原料が混入することのないように、大豆の代わりに小麦を使うレシピにあらためたことを発表し、同時に、遺伝子組みかえ(GM)食品に反対するキャンペーンを先導することを公約した。これは、今年2月にイギリスのテレビBBC2の番組『ニュースナイト』で放送された、リンダ・ブランドの冷凍ベジタリアン食品にGM大豆が含まれていることがわかったという報道を受けてのもの。GM大豆が混入していたことについて、関係者は「驚くと同時に落胆した」と語っており、大豆を使った場合は遺伝子を組みかえられたものが混入していないかどうかをつきとめるのは不可能であるとして、代わりに、現在のところ遺伝子組みかえ技術によって栽培することができないといわれている小麦を使用することにしたという。のちの調査の結果、混入されていたGM大豆の割合は0.5パーセントを下まわることが明らかになったが、ポールはほんのわずかだとしても受け入れるわけにはいかないと語っており、そのときの誓約どおり、リンダ・ブランドからいっさいのGM食品を取り除いた。
この日、ダーク・スーツに白いワイシャツというあらたまった服装で会見にのぞんだポールは、記者に対して次のように述べた。
「1991年にリンダが自分のブランドのベジタリアン食品を発表して以来、僕たちはお客様とのあいだに信頼関係を築いてきました。お客様とのせっかくの信頼関係を維持するために、前回起った問題を誠意を持って受け止め、僕たちの正直な気持ちとして、このような措置をとることにしました」
「なにを食べるかということで、お客様自身に選択をゆだねることも、僕たちにとってはたいせつなことなんです。僕たちと同じように、GM食品などぜったいに口にしたくないと思っている人はたくさんいます。今年はじめに、イギリス国民はあやうくその選択権が奪われる寸前にまでなってしまいました(政府がGM食品の開発を奨励した)。僕たちがこのようなキャンペーンを行なうのは、国民のもとにふたたび選択権を奪い返すためでもあるのです」
ブレア首相がGM食品を支持していることについては次のように語った。「首相がしていること自体は理解できます。首相は国民にパニックにおちいってほしくないと思っているんです。でも首相は間違っていると思う。将来的に起るかもしれないGM食品をめぐる問題について、十分な証拠はなにもないのですから」
「多くの人たちは、巨大企業の持つ力を、ほんとうに心配しています。そのような大企業は、たとえばトマトの細胞に魚の遺伝子を入れ、それを表示しないことだってありえるわけですから、みなさんが心配するのもよくわかります。僕だって心配です。そんなふうにされたら、自分が食べている物が実際にはどんな物なのか、わかるはずがありません」
ノーフォーク州フェイクナムにあるリンダ・ブランドの工場は一時的に操業を停止し、遺伝子組みかえされた原料がまったく残っていない状態にするために蒸気消毒された。今後発売される商品については、これまで4週間にわたって、製造の各段階で厳しい検査が実施され、遺伝子組みかえされた原料がまったく検出されなかったことが確認されている。38種類の各商品のパッケージには、"Say No To GMO"というスタンプが押されており、商品自体がGM食品反対キャンペーンの先頭に立つことになる。
「僕たちの目標は、GM食品などいっさい混じっていない製品を提供する世界一純粋な会社になることです。そのためにはあらゆる努力を惜しみません」
「残念なことに、僕たちはGM食品があふれた世の中に生きていますが、僕たちはGM食品には反対です。だからこそ今、GM食品への抗議キャンペーンを一生懸命に行なっているのです。パッケージにある"Say No To GMO"(GM食品は拒否しましょう)をスローガンに」
「こういったことは僕たちにとっては新しいことでも何でもありません。1995年の時点ですでにリンダはこう言っていたのですから。『私のブランドの食品は、化学業界の手で栽培させるよりも、母なる自然に育ててもらう』と。そして僕たちは今でも、リンダが決めたその方針にこだわって食品作りを行なっています。GM食品が混入するリスクをゼロにするために原料から大豆を取り除き、代わりに小麦を使うことにしたわけですが、すばらしいことに、小麦を使うことによって、リンダの食品の味がさらによくなりました」


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