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シカゴで、ビートルズ、メンフィスでリンダの写真展が開催中


シカゴ歴史協会博物館で2つの写真展が開催されている。“The Beatles: Now and Then”(ザ・ビートルズ:ナウ・アンド・ゼン)と“Requiem: By The Photographers Who Died in Vietnam and Indochina”(レクイエム:ベトナムおよびインドシナで亡くなったカメラマンたちの遺産)である。かたや、イギリスのロックグループに熱狂するアメリカのティーンエイジャーたちの愉快な写真。壁ひとつ隔てた隣の部屋には、同じ時期に世界の反対側で戦い、無惨に死んでいった米兵たちの姿がある。なんとも奇妙な取り合わせだ ギャラリーにビートルズソングが流れるビートルズの写真展は、1964年のビートルズ最初の全米ツアーに同行したスコットランドのカメラマン、Harry Benson(ハリー・ベンソン)の写真が中心である。ベンソンはビートルズに近づくことができた貴重なカメラマンのひとりだ。熱狂的に騒ぐファンたちの姿はもちろん、人気絶頂のビートルズのプライベートな顔も捉えていて興味深い。特に、ジョージ・ハリスンとリンゴ・スターの最初の妻たち、初期のヨーロッパ・ツアーでリンゴの代わりをつとめたドラマーのJimmy Nichol(ジミー・ニコル)などが印象的だ。
また、癌で亡くなる少し前のリンダ・マッカートニーが、ポールや子供たちと一緒に写っている写真もある。だが、最も劇的な瞬間を捉えているのは、1966年にシカゴのホテルの部屋でひっきりなしにタバコを吸っているジョン・レノンの姿だろう。「ビートルズはイエス・キリストより人気がある」という発言が問題視され、マスコミから白羽の矢を立てられていたジョンが、ようやく取材陣を遠ざけた直後にベンソンが撮影したものだ。

2つの写真展は、7月1日から10月9日まで開催されている。どちらを先に見るべきか。ビートルズを先に見れば、レクイエムのパワフルなメッセージ性によってビートルズの印象は跡形もなく消えてしまうかもしれない。レクイエムを先に見れば、カメラの前でばかげたポーズをとっているビートルズが軽薄に見えるだろう。この2つの正反対の出来事が同時に起きていた60年代のアメリカ。ビートルズはその矛盾に気づいていた。全米ツアーの記者会見でビートルズのメンバーのひとりは、次のように語っている。「アメリカにいるのに、誰ひとりベトナムのことを話題にしないのは不思議な気分だ。まるで戦争なんか起きていないみたいだね」

※メンフィスのブルックス美術館では、9月10日まで“Linda McCartney's Sixties - Portrait of an Era”の写真展が開催されている。


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