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ジョージ殺人未遂犯が無罪


ジョージ宅に侵入し、彼を襲撃した容疑者マイケル・エイブラム(Michael Abram)が、精神異常を理由に無罪判決を受けた。アスティル(Astill)裁判長は、容疑者はマージーサイドのスコット・クリニックに、精神状態が健康になるまで収容すべきと命じた。エイブラムが事件をおこした理由は、ジョージがノストラダムスが予言したファント
ム・メナスのひとりであると思い込んでいたためという。神から「地獄の使者を殺せ」と啓示を受けたと信じていた。
15日、眼鏡をかけ、黒の細い縞のスーツ、白いシャツ、ピンクのネクタイ姿のエイブラムは、ふたりの看護士に連れていかれる前、判決に感謝をした。息子のダニーは法廷で母に付き添い、「彼が社会復帰するということは、私たちにとってとても恐ろしいことです。裁判長にはこのような事件が2度と起らないよう、責任のある判決を望みます。判決がくだされる前に私たちの意見も求めていただきたい。内務大臣には彼を釈放する場合、私どもに知らせてくれるよう依頼します。暴力犯罪の被害者は、適時、聴取する権利があると固く信じてます。いまは元の生活に戻せる
よう努力を続けてます。世界の大半をしめる善人によって、社会に増え続ける暴力に歯止めをつけられれば、と願っています。」と述べた。
ジョージ一家は、容疑者が釈放される場合、報告されるよう正式に依頼したが、却下された。裁判長は報告の発行は精神検査局員に限られると述べた。『ガ−ディアン』紙によると、容疑者はジョージ一家に謝罪文を書いていたという。;「私が病気であった時、あなたがたに心身共に深い傷を負わせてしまったことを、お詫び申し上げます。私にとって幻想は現実で、私が妖術にとりつかれているようでした。」
同紙はまた、彼は現在「安定」していると考えられると述べているが、麻薬治療に一生を費やすだろうと書いている。エイブラムが殺人未遂で判決を受け、終身刑がくだされたとしても、釈放の可能性は残る。


裁判の様子をお伝えする。
ジョージの妻オリビアが、 オックスフォード検事裁判所に出廷した。

11月14日、ジョージ・ハリソンは事件について、ハレ・クリシュナを唱えながら命を守るためナイフを持った狂人に立ち向かったようすを述べた。その際ジョージは、伝説のギタリストを殺すための神の使者と信じるMichael 容疑者(マイケル・エイブラム)に5か所を刺された。彼はハリソンにとりつかれていたと、法廷は聴取した。

なんの武器ももたないジョージは、ナイフを振り回しながら妻オリビアへ向かっていく容疑者を止めるために戦ったが、妻の前に彼に襲いかかってきた狂気の男に、力尽きてしまった。
オリビアはランプを容疑者の頭めがけやっとのことで投げつけたが、彼は反撃し、血を流しながら、彼女を追いかけようとした。そのとき、警察が到着した。彼は今までこの事件について語らなかったが、昨日彼は死を予感するほどの襲撃について、Oxford Crown Court(オックスフォード刑事裁判所)の陪審へ書面で語った。「あの男が、私と妻を殺しに来たのはまちがいない。本当に死んでしまうと感じた瞬間が、何回かあった。」
ジョージは妻が彼を起こして、窓が壊されている音がすると言ったときの様子を説明している。彼は下に降りて行き、2枚の窓ガラスとジョージとDragon(ドラゴン)の像が壊わされているのを見つけた。また彼はタバコの臭いを感じ、この厳重に警備している家にだれかが侵入したことに気づいた。「急いで寝室に戻り、妻にだれかがこの家にいると叫んだ。台所からだれかが出て行くのを見た。その男は部屋の真中で立ち止まり、私のほうを見て、男は叫び始めた。彼がナイフと壊した像の一部だとわかる棒きれを手に持っているのが見えた。混乱させ気を散らすために、男に向かいどなり返し、ハレ・クリシュナを叫んだ。男は階段の下へ走って来て、私を見上げた。私はほかの部屋へ行こうとしたが、ドアが開かなかった。その瞬間、男に襲いかかろうと決めた。男が私を越えて行ってしまえば、そ
の先には、妻や義理の母がいたからだ。「まずナイフをつかみ、バランスを崩してやろうと思った。私と男は床に倒れこんだ。男を手で殴って身を守った。男の手から持っていた棒きれが落ちた。男は私の上になり、私の上半身めがけてナイフを刺してきた。妻が男の頭を棒で叩き、攻撃しているのがわかった。男は、怒りを妻に向け彼女を追った。私はナイフのあたりに手を伸ばし、もう1度彼に襲いかかった。男はめちゃくちゃにナイフを振り回してきた。私はもう力が出なくなった。私の胸にナイフが刺さったのを、今でもはっきりと覚えている。本当に死んでしまうかと思った。妻はランプで男の頭を殴った。男はよろめいたので、ナイフを握りひねり取った。」
ジョージは奪い取った容疑者のナイフで男を刺そうとしたが、彼はその気配を感じ、ランプを握った。オリビアが逃げようとしたとき、男はハリソンの頭を殴った。そのとき、警察が到着した。
ジョージは刺された肺とそのほかの傷に苦しんだ。今でも呼吸困難に悩まされている。オリビアは彼女も殺されると思ったほど、恐怖心でいっぱいになっていた。

いっぽう、ジョージの妻オリビアは、昨日法廷で陳述をおこなった。
小柄で赤茶色の髪をしたオリビアは、薄いグレーのパンツ・スーツ姿で、死と直面した恐ろしい夜の出来事を静かに語った。彼女は窓ガラスが壊されているような、うるさい音で目がさめたと言っている。
彼女は夫を起こし警察に電話をした。ジョージはパジャマの上にコートをはおり、ようすを見に行った。彼は容疑者を驚かそうと、1階へ続く階段の上に行った。夫人は、容疑者が大声で叫ぶの聞いたと語った。彼はジョージに向かって、下へ降りてくるよう叫んでいた。その直後、ふたりは1階のバルコニーでつかみ合いのけんかになった。「主人はとても青い顔をしていました。本当になんとも言えないようすで、私を見つめていたのです。彼のあんな姿をそれまでに1度も見たことがありませんでした。殴り合いになり、夫のほうがやられていました。夫は男の腰をつかもうとしました。」私は手を上げて、男の頭をうしろから力いっぱい何度も殴りました。私はうしろへのほうへ叩きつけられ、男は壁に寄りかかっていました。私の手とひざは、男の足のところにありました。手を伸ばして男の急所をつかもうと思ったけれど、ズボンの毛が抜けただけでした。」
彼女は、男の手の感触を首に感じた。次の瞬間、ふたりは床に倒れ、ジョージが男の背中に飛び乗った。彼女は、瞑想のときに使うクッションの上に乗り、這っていった。
ふたりは戦い続いていた。
ときどき水を飲み、手を使いながら、オリビアは真鍮の棒でどうやって身を守ったか、互いの戦いのようすを説明した。「壁やカーペットには血が飛び散り、このとき私たちは殺されると思いました。あの男が私たちに殺人を犯し、助けてくれる人がいないことを悟ったとき、あたりを見るとランプがあったので、それをつかみ力いっぱい男の頭を殴りました。主人が、『やめるな、もっと強く叩け。』と言ったので、もう1度ランプで殴りました。すると主人が、『ナイフを奪った。ナイフを奪った。』と言いました。それはふたりの間に落ちていました。彼は、ナイフを部屋の外へ投げようとしましたが、手を上げると、クッションの上に落ちてしまいました。」
私はもう2、3回彼を殴りつけました。彼は衝撃を受けたようでした。主人がそれ以上、傷つけられないよう、私は『やめて』と言いました。男は血まみれで、主人は傷つき、私は疲れきっていました。主人は『やめるな、もっと強くたたけ。』と言いました。男の頭を殴ると、彼は飛び上がり私を見たのです。私はランプを持ち、彼に向かって振りつけようとしました。でもコードが長すぎて、それを男は私の頭の上で引き裂いて、私の頭を傷つけました。男はコードを手に巻き始めたので、それで私の首をしめるのかと思いました。私はランプを男に投げつけ、部屋から逃げました。」「主人が死んでしまうのではと思いました。私にはそれ以上のことはできず、彼をそのままにしておかなければなりませんでした。階段の最後にくると、男が私を追ってこないことを知り、また主人を傷つけるかと思いました。そのとき、警察が来たのです。」
また、容疑者を狂気の目をした男と表現しながら、「私も狂っていました。それは、自分たちの命を守りたかったからです。」と述べた。
聴聞会のあと、彼女は22歳になる息子ダニーに慰められていた。

容疑者はこの事件で、当初は5つの罪に問われたが、検察側と被告側との話し合いで、現在はふたつの殺人未遂に問われている。
容疑者は逮捕後、Rainhill Hospital(レインヒル・ホスピタル)の、Scott Clinic(スコット・クリニック)に拘留されている。警察医は容疑者を、精神病、おそらく妄想性分裂症であると診断した。検察官のSimon Mayo(サイモン・メイヨー)は、ふたりを襲い意図的に彼らを殺そうとした容疑者に、反論の余地はないといっている。
しかし、陪審では彼が正常かどうかを決めなくてはならない。検察官、被告とその弁護人により選ばれた医者を含む3人の精神科医は、容疑者が「複雑な瞑想感」に悩まされていたと診断している。メイヨー氏は、「彼はジョージのとりこになり、自分が彼を殺すため神から来た使者であると信じていた。3人の専門家によると、容疑者は疑いなくハリソンを殺す気だったが、自分がやろうとしていたことが、まちがっているとは思っていなかった。それは、ハリソンのとりこになった、という勘違いから来るものである。もし被告が精神異常者で、犯罪を犯したと認めるならば、『精神異常のため、無罪』と判決が下されるだろう。」と言った。
リバプールのHuyton(ハイトン)出身の容疑者は、殺人未遂のふたつの罪を否定している。今後の焦点は、彼の精神状態が犯行当時、正常だったかどうかにかかってくる。裁判は続く。


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