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「ジョンならこう反応しただろう」〜ヨーコ、同時多発テロとトリビュート・コンサートについて語る


ジョン・レノン・トリビュート・コンサート『カム・トゥギャザー:ニューヨーク市と市民に捧げるジョン・レノンの言葉と音楽の夜(Come Together: A Night For John Lennon's Words & Music, Dedicated to New York City & Its People)』を主催するTNTテレビ局が今回のイベントについてオノ・ヨーコにインタビューを行った。インタビュー内容は以下のとおり。

質問:あなたとジョンは、平和を信じる人として知られていますが、今回のニューヨークの惨劇に関し、ジョンはどのような反応を見せたと思いますか?

ヨーコ:私たちと同じように、ジョンも怒りを感じたと思います。でも、彼は頭のよい人ですので、怒りにまかせて行動を取るだけではいけないことが、わかっていたと思います。

質問:あなたは、これをどう受け止めていますか?

ヨーコ:まだショックを受けています。でも、それに立ち向かわなくてはならないことは、わかっています。当然、私にとっては、ジョンの命が暴力的に、それも突然に奪われたことを、思い出させる出来事でした。あの時、私はこれにたち向かわなくてはならないことを、知っていました。だれもが、立ち向かっていかなくてはならないのです。

質問:このトリビュート・コンサートの意義は、あの惨劇が起きてから、変わりましたか?

ヨーコ:もともとは、非暴力と、その大切さを子どもたちに教える目的のコンサートでした。でも、今となっては、もちろん、ニューヨーク市と、犠牲になった人たちの家族を支援することが、とても大切です。だから、今それを行うわけです。

質問:このコンサートは、その重要性を増したということですね。

ヨーコ:その通りです。言うまでもなく、このコンサートは、その重要性を増すことになります。このコンサートを計画したとき、だれも、こんな悲劇が起きるとは、夢にも思っても見ませんでした。今回のコンサートの意味はこういうもの、と思い描いてましたが、あの時はだれもこうなるとは思って言いませんでした。

質問:なぜ、ジョンと彼の音楽を思い出すことが、大切なのですか?

ヨーコ:ジョンと彼の音楽を思い出すのは、大切なことです。それは、彼が真実を語っていたからです。そういう意味で、彼の音楽はとても力強いものでした。ジョンの言葉と音楽は、人々にパワーやインスピレーションを与え、そしてまた、人々を癒す励みとなるでしょう。おわかりかと思いますが、彼の音楽だけでも、とても癒されるものなのです。

質問:今回のコンサートの、出演者について、少し伺えますか?

ヨーコ:出演者に関して、私は非常に満足しています。今回の出演者は、今の世代の人たちにとって、重要なパフォーマーです。そんなパフォーマーを望んでいました。それは、彼らの方が、若者たちと、コミュニケーションをとりやすいからです。今の世代の人たちからの、ヒーローを望んでいました。

質問:でも、ジョンの世代のヒーローも、数人いますね(笑)。

ヨーコ:そうです。もちろん彼の世代の人たちもいます。でも、彼らは年代なんて関係ない、先端を行く人たちです。

質問:曲目はどうやって選ばれたのですか?

ヨーコ:私は今回出演するアーティストを、尊敬しています。彼らが好きな歌を歌うことが重要と思うので、好きなジョンの曲をひとつだけ選んで下さいと、お願いして、みんなそれぞれ選んでくれました。

質問:あなたの好きな曲はなんですか?

ヨーコ:むずかしい質問ですね。それぞれちがった理由で、ジョンの歌はどれもみんな好きです。彼はすばらしい曲をたくさん書きました。

質問:ジョンはアイコン(聖像)となり、これからもそうあり続けるでしょう。それはなぜだと思いますか?

ヨーコ:彼が包み隠さず、真実を語ったからです。彼はありのままを語りました。そうすることを恐れなかったのです。実際、彼は自分の人生をそうすることに賭けたのです。あれほどずばずばと物事を語る人は、そういません。ジョンは、心からメッセージを伝えたかったのです。彼は本当に未来の世界とその可能性を信じていました。

質問:もし今でもジョンが歌を書いていたとしたら、一体どんなメッセ−ジが彼の音楽に現われていたと思いますか?

ヨーコ:今の世界について、彼がなにを書いていたか、想像するのはむずかしいことです。彼はいろいろな面から、音楽に興味を持っていました。すごく新しくて、なにかとても大切なことを書いていたにちがいありません。ラップ・ソングのようにね(笑)。彼は、すべてを持っていました。

質問:今回のコンサートは、いろんな意味で感情に訴えたものだと思いますが、観客になにを感じてもらいたいですか?

ヨーコ:観に来てくれた人たちが、エネルギーとパワーを感じてくれることを願っています。これは、私たちがともに生きのびなければならないこと、そして、パニックに陥ってはいけないことに気づいてもらうためのコンサートです。パニックに陥らなくてよいのです。

質問:9月11日のあの惨劇が起きる前、このトリビュートのアイデアがはじめて浮かんだとき、なぜこのコンサートを開催することが、あなたにとって重要だったのですか?

ヨーコ:若い世代の人たちが、今の世界が大丈夫だと思い始めたことがとても重要でした。しかし突然、今回のような状況になり、世界は大丈夫ではないと感じました。でも、ともに美しい世界を作り上げられると想像することで、このことと関連付けるのが、大切だと思ったのです。そして、今でもそれができると思っています。悲観的で否定的な古いしきたりに対抗していけば、世界を変えられるのです。

質問:ジョンは、ほかにもたくさんの興味を持っていましたね。

ヨーコ:彼はルネサンス教養人(すべての学問、芸術に精通した、幅広い知識と教養の持ち主)でした。多くの人たちが、彼をミュージシャン以上の人物だと思っているでしょう。

質問:今、どんなメッセージを人々に伝えたいですか?ひとことで言うと、どんなメッセージですか?

ヨーコ:私たちが、けしてやってはいけないことは、パニックになることだと思います。恐怖からものを言うと、ほかのだれかがそれを真剣に受け止め、さらに恐怖が増して広がります。そしてお互いに恐怖を振りまいていくことになります。こんなことは、けしてやってはいけないことだ思います。美しい未来のために、祈りを捧げるべきです。でも、私たちが祈りを捧げるとき、戦争を思い浮かべながら平和への祈りを捧げることが多いのが現実です。そうであってはいけないのです。思い浮かべることと祈りは、一体であるべきなのです。

質問:今、価値観のまったく違う人たちの悪い話をたくさん耳にします。このようなとき、だれもがいっしょになって、今回のようなコンサートを行うのはいいことだと思います。今となっては、ほかの意味において、深い重要性が増すと思われます。あなたもそう感じますか?

ヨーコ:みんながまとまり、団結することが、美しい未来を作ることになり、私たちが生きて行けることだと思います。それが、私たちを守ることだと思います。


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