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ジョン・レノン・スーパー・ライヴ感動の終幕〜レポート

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21世紀最初のジョンの誕生日となる9日、さいたまスーパーアリーナで『ジョン・レノン音楽祭2001 Dream Power/ジョン・レノン スーパー・ライヴ』が行われた。提唱者のヨーコも当然参加する予定だったが、9月11日にアメリカを襲った同時多発テロの影響で来日が取りやめになってしまった。「ヨーコ不在」という厳然たる事実が、テロの余波をこの日本に生々しく伝える。そしてコンサートには「アジア・アフリカの恵まれない子どものための学校建設」のほか、さらに「平和祈念」の意味あいがつけ加えられた。言うまでもなく、ジョンとヨーコがずっと訴え続けたメッセージだ。

平日にもかかわらず、会場には17,000人の観衆がつめかけた。客層は、ジョンが亡くなってから生まれたと思われる世代が目立った。
午後7時10分、コンサートがスタート。まずジョンの一生を短くまとめたフィルム作品が、ステージの大スクリーンと両脇のスクリーンに映写される。反戦・平和色が強いもので、観客はそのメッセージに大いに湧き、早くもおおきな拍手がおくられた。
映像終了直後にステージの大スクリーンが切って落とされると、ステージには1曲目で吉井和哉、ゆず、押葉真吾があらわれ、場内は悲鳴に似た大歓声に包まれ、オープニング曲'Come Together'を4人が歌った。そのまま押葉が残り、「ミスター・ロックン・ロールに」と、ジョンの激しさと優しさを象徴する3曲をベースを演奏しながら、歌った。
続いては「参加できて光栄です」と語るゆずの2人。アコースティックな持ち味を活かし、まずは哀愁を帯びた2曲を、若さあふれるボーカルで披露。最後の'All You Need Is Love'は、世界全体を勇気づけるような日本語詞で歌われた。
そして紅一点、白井貴子。'Love'冒頭のアカペラ。笑みを絶やさず、「ヨーコさんが毎月日本に来られるような安全な地球になるように」と語りながらのステージで、持ってきた小さな花束を最後に客席に投げ込むパフォーマンスも。
「ジョン、来てるでしょう、そのへんに」と天井を指差して喝采を受けた和田唱は、ポール風のMCを入れながら熱のこもったプレイ。そして「昔、楽器店で偶然会って握手してもらった人」として奥田民生を紹介。ふたりで1曲歌ったあと、奥田のソロ・パートへ。
ビートルズ・フリークの奥田らしい独特な選曲のなかでも、リッケンバッカー325でジョン風のソロを聴かせた'Hey Bulldog'は特に出色だった。
ここで赤坂泰彦が登場し、ジョージ・マーティン、そしてリンゴからのビデオ・メッセージを紹介。ふたりの、ジョンを懐かしく思い出す優しい目が印象的だった。
そのあとは、大御所ムッシュかまやつによる初期ビートルズのロックンロール。若いファンも、世代を越えて盛り上がる。ハープとコーラスの押葉真吾もノリまくっていた。
そして吉井和哉の登場。「ジョンとは誕生日が1日違いです」とうれしそうに言いながら、1月のThe Yellow Monkeyの公演以来となるライブを楽しんでいた。 'God'では歌詞の途中に"I Don't Believe In Bush"と入れ、前日(つまり吉井の誕生日)空爆を開始したアメリカに反戦をアピール。
短い暗転ののち、この日のために結成された小林武史、桜井和寿、田原健一によるAcid Testが登場。テクノと弦楽四重奏を組み合わせた前衛的アレンジの'Mother'で、観衆のハートを一瞬のうちにつかんでしまった。 そしてステージに全員が揃うと、スクリーンにニューヨークのヨーコが登場。会場は大きくどよめく。衛星中継での、ヨーコの参加だ。
「痛ましい事件でニューヨークの人々は悲しみにくれ、安全な場所に移動をはじめました。私はだからこそここを離れない。それが私の使命だし、ジョンがいたら必ずそう考えると思う。ここから愛と平和のメッセージを伝えることが私の役割です」
ヨーコは力強く語ると、出演者ひとりひとりと言葉をかわし、スタッフの労をねぎらう。 そして'Imagine'の歌詞から"Imagine all the people living life in peace"を引用し、一瞬声を詰まらせなが、会場のすべてま人々にメッセージをおくった。
'Happy Xmas'の合唱では、ヨーコも"War is over, if you want it"のコーラスをニューヨークから、いっしょに歌い、アメリカと日本でお互いに平和の願いを送りあう。 エンディングでは、リアルラブからのメドレーで、会場が一体となって'Give Peace A Chance'のコーラスを歌った。 そしてアンコールも全員による'Imagine'。この歌詞が、これほど実感として強く感じられたことがあっただろうか。17,000人の合唱。平和への願いがひとつになった、感動的な瞬間だった。
3時間にもおよぶ長丁場だったが、駅へ向かう観客からは「聴き足りない、もっと聴きたい」という声が多く聞かれた、すばらしいコンサートだった。この「ドリーム・パワー」が、悲しみに沈んでいる世界中に届くように祈りたい。

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〜オープニング・フィルム〜

1. Come Together/吉井和哉、ゆず、押葉真吾
2. Bad Boy/押葉真吾
3. Cold Turkey/押葉真吾
4. Grow Old With Me/押葉真吾
5. Don't Let Me Down/ゆず
6. Jealous Guy/ゆず
7. All You Need Is Love/ゆず
8. Love/白井貴子
9. Watching The Wheels/白井貴子
10. Mind Games/白井貴子
11. Instant Karma/和田唱
12. Oh My Love/和田唱
13. I Am The Walrus/和田唱
14. You've Got To Hide Your Love Away/奥田民生、和田唱
15. I'm Only Sleeping/奥田民生
16. Hey Bulldog/奥田民生
17. She Said She Said/奥田民生

〜ジョージ・マーティン+リンゴ・スター/メッセージ・フィルム〜

18. Little Child/ムッシュかまやつ、押葉真吾(ハーモニカ・コーラス)
19. I Should Have Known Better/ムッシュかまやつ、押葉真吾(ハーモニカ・コーラス)
20. Be-Bop-A-Lula/吉井和哉
21. I'm Losing You/吉井和哉
22. God/吉井和哉
23. Mother/Acid Test(小林武史、桜井和寿、田原健一etc.)

〜オノ・ヨーコ衛星中継〜

24. Happy Xmas (War Is Over)/全員
25. Real Love〜Give Peace A Chance(メドレー)/全員

アンコール
25. Imagine/全員
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※このコンサートが開催されたことにより、すでに、7つの学校の建設支援がはじまっている。
 詳細はDream Power 公式サイト http://www.dreampower-jp.com/ をご覧下さい。


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