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ヨーコ、サンフランシスコへ 続続報


ヨーコは、『イエス・ヨーコ・オノ』展が開催されているサンフランシスコ近代美術館で、スピーチとパフォーマンスを行なった。会場となった講堂は、ヨーコの来館が会期中、唯一ということで、満席となった。
スピーチは、ロサンゼルスの現代美術館の学芸員長ポール・シメール(Paul Schimmel)との対談から始まった。シメールは、40年代後半から70年代後半までのパフォーマンス・アートの研究を世界規模でまとめた『アウト・オブ・アクションズ(Out of Actions)』(1998年)の編集者で、その中でヨーコの作品を扱ったことがある。
シメールは対談の最初に、ヨーコの作品のルーツを彼女の幼少期の体験に触れながらひもとき、60年代初期のアバンギャルド芸術やミュージック・シーンを分かりやすく総括した。ヨーコは、それに応えるように、1960年にニュー・スクール・フォー・ソシアル・リサーチ(New School for Social Research)でジョン・ケージ(John Cage)と作曲を勉強したことに触れ、「ケージはそのことを友人全員に話し、『参加する生徒はいないだろうから、おいでよ』と私に言っていました。だから私は1、2回授業に出ました。それだけですが、そのことが、ジョン・ケージの作曲の授業を私が受けたという伝説になったのです」。
また、対談では、ヨーコの1965年の革新的なパフォーマンス『カット・ピース(Cut Piece)』に話がおよんだ。『カット・ピース』とは座っているヨーコの衣服を観客がはさみで切るというもので、メイズルズ(Maysles)兄弟によってその模様が撮影された。その8分間の映像をスクリーンに映し出す合図をシメールが出すと、ヨーコはイスから跳び上がって、大きな黒い布の下に駆け込み、シメールに手招きをした。
『カット・ピース』が上映されている中、ヨーコとシメールは黒い覆いの下でもぞもぞと動いていた。そしてすぐにヨーコの白いスカーフ、ジャケット、黒いシャツ、黒いブーツ、そしてシメールのジャケット、ネクタイ、ベルトが投げ出された。
このハプニングは『カット・ピース』とは不釣合いの笑いをよんだ。そして彼女ははだしで、黒いタンクトップとズボンの姿で再登場した。

その後、ヨーコはショーンを紹介。ショーンがギターを持ち、ヨーコのアコースティック・ハープと彼女が発明した画期的な音響効果がある電子ハープの演奏した。
ヨーコは「忘れないで下さい、時間は人間が造った概念なのです」と言い、‘Mulberry(マルベリー)’という曲を演奏し、間奏では体を身もだえさせるようなパフォーマンスを行なった。2曲目は希望を嘆願する曲である‘Franklin Summer(フランクリン・サマー)’を演奏した。

ヨーコは、イベントの最後に、青いひもを巻きつけた青いパズル・ピースを全員に配り、「これは、9月11日の空のかけら(ピース)です。10年後にまた会って、これらをひとつにしましょう」と呼びかけた。

このイベントの模様は、ビデオ撮影され、サンフランシスコ近代美術館で、7月13日、26日、8月1日に上映される予定。
7月18日には、地元のアーティストとミュージシャンによりヨーコの‘Sky Piece for Jesus Christ(スカイ・ピース・フォー・ジーザス・クライスト)’(1965年)が演奏される予定。また、学芸員のクララ・キム(Clara Kim)によるヨーコの作品に関する講義が行なわれる予定。


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