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ポールからのメッセージ

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6月5日(火)にヒア・ミュージックよりリリースされる“MEMORY ALMOST FULL”について。

実のところ、僕がこのアルバム“MEMORY ALMOST FULL”に着手したのは、前アルバム“CHAOS AND CREATION IN THE BACKYARD”(2005年9月リリース)よりも前なんだ。最初のレコーディング・セッションは、2003年秋に、アビイ・ロードでツアー・バンドとプロデューサーのデビッド・カーンと行なった。その最中に、ナイジェル・ゴドリッチと新しいプロジェクト(それが“CHAOS〜”となる)に取りかかることになった。

僕は“CHAOS〜”に関わるすべてを片づけ、グラミー賞にノミネート(2006年)されたあと、このアルバムに再び取りかかって終わらせなければと実感したんだ。すでに時が経ったものを楽しめるかなという疑問はあったけど、もう一度聴いてみると、とてもよかった。まず初めに、2、3のテイクを聴いてみて、こう思い始めた。「この曲好きだムじゃあ、この曲のよくないところはどこだろう?」そして、たとえばそれがドラムの音だったとすれば、僕がドラムをやり直して、どんな感じになったかようすを見た。

だから僕は、途中までできていたところから取りかかり、積み上げていくという作業を行なったのさ。曲ごとに全部おさらいしながら変更を加えていった。あまりしっくりこないところは直し、そこからまた発展させる。すると僕も気づかないうちに、もしくは無意識に、すべてを繋ぎ止める糸のようなテーマができ始めていったんだ。そういうわけで、(ニュー・アルバムの)半分は新しいもので、半分は2003年のものだ。

このアルバムは、ところどころとても個人的で、子どものころや、リバプールや、過ぎ去った夏の記憶から引き出した回顧的なものもある。このアルバムは追憶的だし、感情に訴えるし、ロックしている。でもひとことで言い表すことはできないよ。

エンディングに向かって5曲のメドレーがあるんだけど、これは意識的に回顧的にしたんだ。もしかすると、人生において、現在僕がいる地点のせいかもしれないと思ったけど、一方でジョンと曲を書いていたときのことを考えていた。それもまた回顧的だけどね。‘Penny Lane’や‘Eleanor Rigby’のときの僕のようだったよム僕は今でも同じワザを使っている!

みんなが曲をさまざまに解釈することをわかっているよ。それはいつものことだし。でも大事なことは、僕が曲を書くことが大好きだから、ただ書き続けるということなんだ。僕はある特定のことについて書こうと思って曲を作り始めても、必ずと言っていいほど、最後はそのテーマどおりに書き終えることはない。でも必然的に、曲は僕がやっていることのどこかに収まるから不思議なものさ。

アルバムのオープニング・トラックは、‘Dance Tonight’。最近入手したマンドリンを何となしに弾いていて、この曲のもとができたんだ。2、3週間前、この曲のビデオを作ったんだけど、とても楽しかったよ。監督はミシェル・ゴンドリー(映画『エターナル・サンシャイン』)、主演はナタリー・ポートマンとマッケンジー・クルック。どんな内容かはここで教えてあげないよ。君の目で観てほしいから。

アルバム・タイトルは、(レコーディング・セッションを)すべて終えてから思いついた。いつものことさ。おそらく“SGT. PEPPER'S”を除いては、僕が作ったアルバムで、ビートルズでもウイングスでもソロでも、タイトルやコンセプトが最初にあったものはない。このアルバムを総括するタイトルを考えていて“MEMORY ALMOST FULL”が思い浮かんだ。これは現代の生活を包括していると思われるフレーズだ。現代の生活では、僕たちの脳は少し過負荷になっている。また、そのフレーズが、数回僕の電話に表示されたことも関係がある。何人かの友人に、そのアイディアを言って意見を聞いてみると、ほぼ全員が異なった意味に捉えたけど、全員がそのアイディアをとても好きだと言ってくれた。だから友人の反応が、タイトル決定を助けてくれたんだ。

アルバムを完成後、僕はアルバムのアートワークをどうするかを考え始めた。絶対に魅力的なものにしたかったからね。CDラックから手に取ってみたくなるもの、みんなが興味を持ってくれるものにしたかった。そういうジャケットになっていることを願うよ。アルバム・ジャケットには、僕の友人ハンフリー・オーシャンのエッチングが含まれている。みんながこのアートワークをどう解釈するか、アルバムの歌詞と同様に楽しみにしているよ。

現在、僕はプロモーションを開始したばかりで、アルバムについての最初の反響を感じているところさ。今のところ、評判は上々! 興味深いことに、僕は今になって、みんなが僕の曲をどう理解し、どんな感想を持つかに耳を傾けるようになってきている。僕も自分自身、このアルバムについて話すことによって、新しい発見の過程をとても楽しんでいるんだ。

僕はこのアルバムをデビッド・カーンと制作することをとても楽しんだし、すべての曲を誇りに思っている。僕たちはすばらしい時を過ごした。僕たちが楽しんだその雰囲気が、アルバムを聴いてくれるみんなにも伝わることを願っているよ。

ごきげんよう。
ポール・マッカートニー 

フル・トラックリスト
1. Dance Tonight
2. Ever Present Past
3. See Your Sunshine
4. Only Mama Knows
5. You Tell Me
6. Mister Bellamy
7. Gratitude
8. Vintage Clothes
9. That Was Me
10. Feet In The Clouds
11. House Of Wax
12. End of the End
13. Nod Your Head


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